映画『あん』に感じる魂の輝き
今更ながら、映画『あん』を観ました。
先日の満月の夜に。
主演女優の樹木希林さんが昨年9月に亡くなられた後、テレビ放映されたのを録画して放置していたものなのですが、自分的にはすごい良いタイミングに観られたなぁと感じています。
また、私はあんまり映画をちょくちょく観る方ではないので、実は、河瀬直美監督の映画を観たのはこれが初めて。彼女の作品が世界的に高く評価されていることに、心から納得しました。
五感で感じられる映像
物語は静かに淡々と流れていくのですが、飽きることなくなぜかその先が気になり、どんどん引き込まれてしまいました。
結構せっかちな私は、淡々としたストーリー展開に飽きてしまうことが多いので、すすんで観る映画はハラハラドキドキものか、腹の底から笑えるコメディーが主流。
こういうジャンルは久しぶり。
匂いや音、味、温度まで感じられた気がしました。
おそらく、日常の中のどこかで体験したことがあり、潜在的な記憶にある感覚が、視覚を通じて呼び起こされるからなのかなぁ、と。
映像が普通目線に見えるからこそのマジックなのですかね?
一人一人の魂の輝き、精一杯生きる意味
観たのがタイムリーだったと感じたのは、まず、物語にチラッと出てくる「月」のこと。
月食が伴う満月で、月の影響が強い時期だったので、そこにシンクロしてしまった感じがします。
そして、良くも悪くも自分に関わっている人たちのそれぞれの立場や想い、恐れなどを汲み取り、たとえ同調はできなくても、そういうことがあるということを認めることが必要なのだと、今この時期に改めて思ったことも。
また、毎日を自然にその人生を生きているだけで、知らない間にどこかで誰かの何かの役に立っていることはあり、逆に自分もその恩恵を受けているというのを実感できたことも。
なんかうまく言葉に表せませんが、ある種の転機を感じている時にこの映画を観ると、より心に響くのだと感じました。
さらに、河瀬監督のスゴイ感性に感化されて、ドリアン助川さんの原作も読みたくなりました!