しっぽを失くした猫との出会い(2)
亡き愛猫に手伝ってもらい、お話にこぎつけた
ナラとのアニマルコミュニケーション(AC)は、実は簡単にはいきませんでした。
もともと、野良ちゃんや家族と暮らしていない子との遠隔ACは、警戒心が強いために話しかけるのがちょっと難しいことが多いのです。ナラの場合はとにかく心を閉ざしていて、なかなか応答してくれませんでした。
そこで奥の手。亡き愛猫・ミカを呼び出し、一緒にナラに話しかけてもらいました。
ようやく反応がありました!
幸せってどんなもの?
とにかく人馴れしてくれないと里親も決まらないので、
「ちょっとずつでも、スタッフの人たちと仲良くなれないかな? 仲良くなれたら、ナラちゃんにもいいおうちが決まるよ」
すると「ほんとうにいいおうちなんてあるの?」と。
「いいおうちは、いっぱいあるよ。家族ができたらきっと幸せだよ」と言うと、
「幸せってどんなもの?」と言われてしまい、ショックでした。
どういう意味でナラがそう言ったのか、正しくはわからなかったけれど、でも彼女が今幸せではないのだろうなというのは、とにかく感じられたので。
さらに「元の家には戻りたくない」「怖い。怖い。人が怖い…」とも。
やばい、心のシャッターがまた下りちゃった!
ナラはおしゃべりな子ではなく、返ってくる言葉は、ほんとにボソッボソッとした感じでした。
そうして〝おうち〟の話をしていると、「ヨセフのとこはダメなの?」と聞かれました。
「どうしてヨセフのところがいいの?」とたずねると、
「ミカちゃんが、幸せだったって」
…ミカの気持ちはものすごく嬉しいけど、今の私は新たな子を受け入れる気持ちではない。どうしよ…と思いつつ、期待させるような嘘は言えないので
「ごめんね。今は事情があってヨセフのとこはダメなの」と伝えました。
すると途端に、少し開いていたナラの心のシャッターが一気に下りた感じがしました。
あーあ、やってしまった…。
後日、このことをACの師匠に話すと、
「その子にほんっと残酷なことをしたよね!」と当然ながら叱られちゃいました。
がっくし。
*しっぽを失くした猫との出会い(3)へつづく